どうでもいいPWMコントローラーの話

90%以上の人がどうでもいいと思われるPWMコントローラーの正体について考察する原因は動画に説明したから、興味のある方はどうぞ。
ASP2006
ROG STRIX B550-E GAMINGのPWMコントローラーは見かけたことのないASP2006ですが、パッケージにQFN-40のチップ、パワーステージにMPS製のMP86992 DrMOSを使ってる点から推測すると、おそらく中身は同社製のMP2855じゃないかなと思います。
このコントローラーはmsiのB550I EDGEにも使われています。
MP2855のデータシートはまだ公開されていないので、
詳しいスペックはまだわかりませんが、msiさんの話によると、少なくとも9フェーズコントローラーでなければなりません。
残る問題は9フェーズか10フェーズか。それと、+2ができるかどうか。
いつかデータシートが公開されたとき、解明されるでしょう。
別にmsiさんを信じない理由はありません。
並列構成のフェーズ(ASUSはそれをTeamedと、msiはDRPSと称してます。どうでもいい)で「8+2」を出したければ、「Duet Railなんとか」を書けばいいし、パーツ流用でやり方も色々あります。
新しいパーツを投入し、ダイレクト8フェーズと言った以上、msiさんも本気で競争力をつけたいところなんでしょう(一応B450の時ITXは各社の中でVRM一番強かったし)
というわけで、ASUSのいわゆるDIGI+ブランドで今回存在が確認できるのは、既存製品のリブランドのみ。最も適任な製品はMP2855。
もしかすると、これから発売のB550 UNIFYは従来品と下位品のVRM設計との差別化を図ろうとして、TDA214X2あたりじゃなく、B550-Eに近いVRM構成を使う可能性もあると思います。
このクラスで機能面も充実させたければ、GIGABYTEのように惜しげなくTDA21472を出すやり方より、VRM部品のコストを抑えた方が利益が出やすくなるはず。
VRMがB550-Eより強くてもあまり意味がないので、工夫するなら別のところがよろしいかと。
もちろん、もし同じ価格帯で、VRMもB550-Eより上、機能面も競合製品を圧倒するものができるなら、それは恐ろしい。
ASP1900B
ASUSのZ490マザボにもASP1900Bという新しいPWMコントローラーが現れ、最上級の数枚以外のラインナップに多く使われました。
そのことについて、とある日本の自作ブロガーが中身は“IR3580(7 + 1フェーズ対応)”という情報を発信して、世界中に知れ渡りましたが…
- IR3580はQFN-48のチップ、ASP1900BはQFN-52
- IR3580はシングル出力で7+1配置ができません
- ミドルからエントリークラスのマザボに、わざわざIRパーツを新しく投入する理由はまずありません。そうしたければちゃんとその配置ができる定番のIR35201があり、それを使えばいいって話(ASUSのZ490最上級あたりはまさにIR35201を使っています。最上級以外はコストを抑えたいからそうしないわけです)
といった点から考えると、その発言はでたらめとしか考えられません。
おそらく、このコントローラーはON Semi製のPCP81229/NCP81229のリブランドだという可能性は大きいと思います。
一応そう思う理由として:
- QFN-52
- 少なくとも7+1フェーズ、しかも安くなければならない
- 製品ページの画像では、印字がON Semi製のように見える
- NCP81228である可能性も確かにありますが、ASP1900Bを使った製品を見ると、+2の必要性はないような気がする
そう言えば、同じ人がB550-Eについて“ASP2006はIR35215”とも書きましたね。
想像してみましょう。
MP86992というMOSFETを使ったけど、PWMコントローラーはどうしてもInfineon製品を使いたい。そして、大量購入してあった。使いこなした。7+1フェーズもできる。Intel規格だけでなくAMD SVI2も完全対応するように設計されたIR35201を放っといて、コストダウンもできないのに、わざわざIntel用のIR35215をリブランドし、AM4マザボに投入していいと思う天才がいる。
ASUSさん、早くその人を雇わないか。
RAA229004
ついでに間違った情報を解明したい。
同じブロガーさんがなぜか“RAA229004とISL69269は同一である”と思い込んで、それ故かB550 Taichiについて“ダブラー7つ”とか“7+2モードで動作”とか書いていましたが、they are not the same…
- ISL69269はRAA229004より20ピン多い(見れば分かる)
- RAA229004は2出力8フェーズコントローラーであり、ISL69269は少なくとも3出力合計12フェーズのコントローラー
- B550 TaichiのCPU VRMにはダブラー8つなので、物理8フェーズ仮想16
ちなみに、RAA229004はAMD専用コントローラーであり、Intel用の同等品はRAA229001である。
RAA229004もデータシートが公開されてなくて、使用例を見ると、Vcore出力が6フェーズまでだという可能性もありますが…
B550 Taichiの基板上の印字から見ると、16個のMOSFETの中に2つがSoCのように示されています。画像リンク
現物があれば簡単に確認できますが、今のところは印字を信じるしかない。
(もしTaichiのVRMが12フェーズVcoreでしたら、ヒートシンクの繋がったSteel Legendと変わりませんし。十分優秀とは言え、元々各社最上級の中で一番弱いのに、それだとmsiさんのCarbonにも劣ることになる。さすがにASRockでもそんなもの出せるわけがないと信じたい。)
ISL69138/ISL69147
Buildzoid氏がGamers Nexusでの動画によると、X570 AORUS ELITEというマザボについて、少なくとも試作品の段階ではISL69138が使われたそうです。
それを、国内外の多くの人々(自分を含む)が事実だと受け取った。
人気のAM4マザボ比較リストにそう記載されているだけでなく、自分みたいに現物に目を通したにもかかわらず書き間違えた方もいます。
実際、X570 AORUS ELITEの量産品にはISL69147というAMD専用の同等品が使われています。これをもって訂正させて頂きたい。
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